実務に役立つ民法・債権法改正~変更点セレクト20 No.9 法定利率

今回のポイントは、3点です。
・新しい法定利率といわゆる変動金利との違い。
・法定利率の変更の頻度と幅。
・中間利息控除に適用される利率は。

1 法定利率の変動制を採用

改正民法は、法定利率について、3年を1期とし、1期ごとに見直しを検討するものとし、変動制を採用しました(404条3項)。商事法定利率の定めも廃止されています。

もっとも、改正民法では、個別の債権に適用される法定利率は、利息が発生した最初の時点の法定利率で固定されるものとしています(同条1項)。

すなわち、改正民法で採用された変動制は、法定利率そのものが変動するものであり、個別の債権の利率があるときは3%、あるときは4%と変動するものではありません。

2 法定利率の変動に関する定め

(1) 法定利率は、改正法が施行された当初は年3%となります(同条2項、附則15条2項参照)。

(2) 3年に一度、法定利率に変動が生じるか否かを検討します(同条3項)。

(3) 法定利率が直近に変動した期(直近変動期)の「基準割合」と、当期の「基準割合」とを比較して、1%以上増減が生じていれば、その差の1%未満を切り捨てたうえで、直近変動期の法定利率に加算又は減算します(同条4項)。

たとえば、直近変動期の「基準割合」と、当期の「基準割合」との差が1.5%増であれば、0.5を切り捨て、直近変動期の法定利率に+1%されます。

(4) ここでいう「基準割合」とは、次のとおりです(同条5項)。

ア 各期の初日の属する年の6年前の1月から前々年の12月までの各月における
イ 短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を
ウ 60で除して計算した割合(その割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するもの。

ア・ウにより、5年間(60か月)の平均をとった数字が「基準割合」となりますから、ある1年で市場金利が乱高下しても、法定利率はそれほど影響を受けません。

そのため、改正法の変動制は、緩やかな変動制と評されます(潮見佳男「民法(債権関係)改正法の概要」57頁(きんざい 平成29年8月))。

イは、日本銀行が毎月発表している指標で、国内銀行の「貸出約定平均利率(新規・短期)」と呼ばれているものを参照します(日本銀行のホームページで公開されています)。

3 中間利息の控除

中間利息控除の利率も法定利率によることが明文化されました(417条の2)。

交通事故などで、事故時からしばらく経ってから後遺症の症状が固定することがあります。この場合において、逸失利益における労働能力喪失期間は症状固定時から算定されます。

しかし、損害賠償請求権は不法行為時に発生して直ちに遅滞となります。そのため、不法行為時から法定利率により遅延損害金が発生し、中間利息控除は、後遺症による逸失利益分を含めて、その請求権の発生時点である不法行為時における法定利率によって中間利息控除を行うことになります(筒井健夫・村松秀樹「一問一答民法(債権関係)改正」86頁~89頁(商事法務、2018年))。