実務に役立つ民法・債権法改正~変更点セレクト20 No.18 債権者代位ー債務者の地位の変化と債務者への訴訟告知

Shinozuka & Noda

今回のポイントは、次の3点です。
・債権者代位権が行使された場合、債務者は自らの第三債務者に対する権利を行使したり、処分したりすることができなくなるのか。
・代位債権者が事実上優先弁済を受けることは引き続き認められたか。
・代位権訴訟が提起された場合、債務者は代位訴訟に参加することが保障されているか。

債務者の処分の可能性

現行法の下で、判例は、債権者代位権が行使され、かつ、その事実を債務者が知った時には、債務者自身による訴訟提起はできず、権利の処分もできないと解されていました(大判昭和14年5月16日)。これは代位債権者に強い力を与える反面、債務者や第三債務者の地位を不安定にする、民事保全・執行制度と比較して強力すぎるといった批判もありました。

改正法では、代位権の行使があっても、債務者は自ら取り立てその他の処分が可能であす。第三債務者も履行を妨げられません(改正民法423条の5)。処分には弁済受領のほか免除や債権譲渡も含むと解されます。したがって、これらの行為があると、たとえ代位債権者が判決を取得したとしても徒労に終わることになります(潮見佳男『民法(債権関係)改正法の概要』80ページ、きんざい 2017年8月)。実務上は、処分行為の可能性を見越し、当初から民事執行・保全によるべき場面も多いと思われます。もっとも、処分の態様によってはそれが詐害行為とされることはあり得ます(中田裕康ほか『講義 債権法改正』112ページ、商事法務 2017年12月)。

事実上の優先弁済との関係

責任財産保全という本来目的との関係で批判があったのが、いわゆる代位権の行使に伴う事実上の優先弁済です。債権者は、代位の結果、第三債務者から金銭を受け取ることができましたが、あくまで債務者の権利ですので、受領したものを返還する義務を負います。この返還義務を自己の債権と相殺することがこれまで可能でした。

改正ではこれを禁止する規定は置かれませんでした。もっとも、債務者の権利処分が可能ですので、債権者が直接金銭を受領する場面は従来より減るものと考えられます。

訴訟告知

上述の通り、債務者による権利の処分が可能になりましたが、代位権行使が訴訟提起による場合、債務者による同一訴訟物についての別訴は不可能です(民訴法142条)。
このように債権者が先んじて代位訴訟を提起した場合に、判決効を受ける債務者に手続への参加を保障するべく、訴訟告知の制度が設けられました(改正民法423条の6)。これを受けた債務者は、当該訴訟に共同訴訟参加するほか、代位権の行使自体を争う場合には、独立当事者参加するなどの対応が考えられます。